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更新日:2019年1月1日

消費者基本法

第1章 総則

 

(目的)

第1条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量及びに交渉力等の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務等を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策の推進を図り、もつて国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。

 

(基本理念)

第2条 消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策(以下「消費者政策」という。)の推進は、国民の消費生活における基本的な需用が満たされ、その健全な生活環境が確保される中で、消費者の安全が確保され、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、消費者に対し必要な情報及び教育の機会が提供され、消費者の意見が消費者政策に反映され、並びに消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されることが消費者の権利であることを尊重するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として行わなければならない。

2 消費者の自立の支援に当たつては、消費者の安全の確保等に関して事業者による適正な事業活動の確保が図られるとともに、消費者の年齢その他の特性に配慮されなければならない。

3 消費者政策の推進は、高度情報通信社会の進展に的確に対応することに配慮して行わなければならない。

4 消費者政策の推進は、消費生活における国際化の進展にかんがみ、国際的な連携を確保しつつ行わなければならない。

5 消費者政策の推進は、環境の保全に配慮して行わなければならない。

 

(国の責務)

第3条 国は、経済社会の発展に即応して、前条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのつとり、消費者政策を推進する責務を有する。

 

(地方公共団体の責務)

第4条 地方公共団体は、第2条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのつとり、国の施策に準じて施策を講ずるとともに、当該地域の社会的、経済的状況に応じた消費者政策を推進する責務を有する。

 

(事業者の責務等)

第5条 事業者は、第2条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にかんがみ、その供給する商品及び役務について、次に揚げる責務を有する。

  • 一 消費者の安全及び消費者との取引における公正を確保すること。
  • 二 消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること。
  • 三 消費者との取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮すること。
  • 四 消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等に努め、当該苦情を適切に処理すること。
  • 五 国又は地方公共団体が実施する消費者政策に協力すること。

2 事業者は、その供給する商品及び役務に関し環境の保全に配慮するとともに、当該商品及び役務について品質等を向上させ、その事業活動に関し自らが遵守すべき規準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう努めなければならない。

 

第6条 事業者団体は、事業者の自主的な取組を尊重しつつ、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理の体制の整備、事業者自らがその事業活動に関し遵守すべき基準の作成の支援その他の消費者の信頼を確保するための自主的な活動に努めるものとする。

 

第7条 消費者は、自ら進んで、その消費生活に関して、必要な知識を修得し、及び必要な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならない。

2 消費者は、消費生活に関し、環境の保全及び知的財産権等の適正な保護に配慮するよう努めなければならない。

 

第8条 消費者団体は、消費生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明、消費者に対する啓発及び教育、消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の消費者の消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動に努めるものとする。

 

(消費者基本計画)

第9条 政府は、消費者政策の計画的な推進を図るため、消費者政策の推進に関する基本的な計画(以下「消費者基本形計画」という。)を定めなければならない。

2 消費者基本形計画は、次に揚げる事項について定めるものとする。

  • 一 長期的に講ずべき消費者政策の大綱
  • 二 前号に揚げるもののほか、消費者政策の計画的な推進を図るために必要な事項

3 内閣総理大臣は、消費者基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。

4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、消費者基本計画を公表しなければならない。

5 前2項の規定は、消費者基本計画の変更について準用する

 

(法制上の措置等)

第10条 国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行わなければならない。

2 政府は、この法律の目的を達成するため、必要な財政上の措置を講じなければならない。

 

第2章 基本的施策

 

(安全の確保)

第11条 国は、国民の消費生活における安全を確保するため、商品及び役務についての必要な基準の整備及び確保、安全を害するおそれがある商品の事業者による回収の促進、安全を害するおそれがある商品及び役務に関する情報の収集及び提供等必要な施策を講ずるものとする。

 

(消費者契約の適正化等)

第12条 国は、消費者と事業者との間の適正な取引を確保するため、消費者との間の契約の締結に際しての事業者による情報提供及び勧誘の適正化、公正な契約条項の確保等必要な施策を講ずるものとする。

 

(計量の適正化)

第13条 国は、消費者が事業者との間の取引に際し計量につき不利益をこうむることがないようにするため、商品及び役務について適正な計量の実施の確保を図るために必要な施策を講ずるものとする。

 

(規格の適正化)

第14条 国は、商品の品質の改善及び国民の消費生活の合理化に寄与するたえ、商品及び役務について、適正な規格を整備し、その普及を図る等必要な施策を講ずるものとする。

2 前項の規定による規格の整備は、技術の進歩、消費生活の向上等に応じて行なうものとする。

 

(広告その他の表示の適正化等)

第15条 国は、消費者が商品の購入若しくは使用又は役務の利用に際しその選択等を誤ることがないようにするため、商品及び役務について、品質等に関する広告その他の表示に関する制度を整備し、虚偽又は誇大な広告その他の表示を規制する等必要な施策を講ずるものとする。

 

(公正自由な競争の促進等)

第16条 国は、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の拡大を図るため、公正かつ自由な競争を促進するために必要な施策を講ずるものとする。

2 国は、国民の消費生活において重要度の高い商品及び役務の価格等であつてその形式につき決定、認可その他の国の措置が必要とされるものについては、これらの措置を講ずるに当たり、消費者に与える影響を十分に考慮するように努めるものとする。

 

(啓発活動及び教育の推進)

第17条 国は、消費者の自立を支援するため、消費生活に関する知識の普及及び情報の提供等消費者に対する啓発活動を推進するとともに、消費者が生涯にわたって消費生活について学習する機会があまねく求められている状況にかんがみ、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて消費生活に関する教育を充実する等必要な施策を講ずるものとする。

2 地方公共団体は、前項の国の施策に準じて、当該地域の社会的、経済的状況に応じた施策を講ずるよう努めなければならない。

 

(意見の反映及び透明性の確保)

第18条 国は、適正な消費者政策の推進に資するため、消費生活に関する消費者等の意見を施策に反映し、当該施策の過程の透明性を確保するための制度を整備する等必要な施策を講ずるものとする。

 

(苦情処理及び紛争解決の促進)

第19条 地方公共団体は、商品及び役務に関し事業者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情の処理のあつせん等に努めなければならない。この場合において、都道府県は、市町村(特別区を含む)との連携を図りつつ、主として高度の専門性又は広域の見地への配慮を必要とする苦情の処理のあつせん等を行うものとするとともに、多様な苦情に柔軟かつ弾力的に対応するよう努めなければならない。

2 国及び都道府県は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、人材の確保及び資質の向上その他の必要な施策(都道府県にあつては、前項に規定するものを除く。)を講ずるよう努めなければならない。

3 国及び都道府県は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた紛争が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

 

(高度情報通信社会の進展への的確な対応)

第20条 国は、消費者の年齢その他の犠牲に配慮しつつ、消費者と事業者との間の適正な取引の確保、消費者に対する啓発活動及び教育の推進、苦情処理及び紛争解決の促進等に当たって高度情報通信社会の進展に明確に対応するために必要な施策を講ずるものとする。

 

(国際的な連携の確保)

第21条 国は、消費生活における国際化の進展に明確に対応するため、国民の消費生活における安全及び消費者と事業者との間の適正な取引の確保、苦情処理及び紛争解決の促進等に当たって国際的な連携を確保する等必要な施策を講ずるものとする。

 

(環境の保全への配慮)

第22条 国は、商品又は役務の品質等に関する広告その他の表示の適正化等、消費者に対する啓発活動及び教育の推進等に当たつて環境の保全に配慮するために必要な施策を講ずるものとする。

 

(試験、検査等の施設の整備等)

第23条 国は、消費者政策の実効を確保するため、商品の試験、検査等を行う施設を整備し、役務についての調査研究等を行うと共に、必要に応じて試験、検査、調査研究等の結果を公表する等必要な施策を講ずるものとする。

 

第3章 行政機関等

 

(行政組織の整備及び行政運営の改善)

第24条 国及び地方公共団体は、消費者政策の推進につき、総合的見地に立つた行政組織の整備及び行政運営の改善に努めなければならない。

 

(国民生活センター役割)

第25条 独立行政法人国民生活センターは、国及び地方公共団体の関係機関、消費者団体等と連携し、国民の消費生活に関する情報の収集及び提供、消費者と事業者との間に生じた苦情の処理のあつせん及び当該苦情に係る相談、消費者からの苦情等に関する商品についての試験、検査等及び得役務についての調査研究等、消費者に対する啓発及び教育等における中核的な機関として積極的な役割を果たすものとする。

 

(消費者団体の自主的な活動の促進)

第26条 国は、国民の消費生活の安定及び向上を図るため、消費者団体の健全かつ自主的な活動が促進されるよう必要な施策を講ずるものとする。

 

第4章 消費者政策会議等

 

(消費者政策会議)

第27条 内閣府に、消費者政策会議(以下「会議」という。)を置く。

2 会議は、次に揚げる事務をつかさどる。

  • 一 消費者基本計画の案を作成すること。
  • 二 前号に揚げるもののほか、消費者政策の推進に関する基本的事項の企画に関して審議するとともに、消費者政策の実施を推進し、並びにその実施の状況を検証し、評価し、及び監視すること。
  • 三 会議は、消費者基本計画の案を作成しようとするときは、国民生活審議会の意見を聴かなければならない。

第28条 会議は、会長及び委員をもつて組織する。

2 会長は、内閣総理大臣をもつて充てる。

3 委員は、内閣官房長官、関係行政機関の長及び内閣府設置法(平成11年法律第89号)第9条第1項に規定する特命担当大臣のうちから、内閣総理大臣が任命する。

4 会議に、幹事を置く。

5 幹事は、関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。

6 幹事は、会議の所掌事務について、会長及び委員を助ける。

7 前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

 

(国民生活審議会)

第29条 消費者政策の推進に関する基本的事項の調査審議については、この法律によるほか、内閣府設置法第38条の定めるところにより、国民生活審議会において行うものとする。

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